女性が発症しやすいデリケートゾーンの疾患には、性器ヘルペスやカンジダ症があります。どちらもかゆみを伴いますが、原因や症状は大きく異なります。
ここでは性器ヘルペスとカンジダ症の違いについて、治療方法などもあわせて詳しく解説していきます。
性器ヘルペスとカンジダ症の感染原因の違い
性器ヘルペスは単純ヘルペスウイルスの感染が原因です。
また、性器ヘルペスは、性行為を介して発症することが多く、性感染症のひとつとなっています。
一方、カンジダ症(膣カンジダ症)は、真菌(カビ)の感染が原因です。性行為を介してパートナーからうつることもありますが、カンジダ症は自己感染によって発症することが多くなっています。
カンジダ症を発症する原因となっている真菌は、もともと体内に存在している常在菌です。体調不良やストレス過多などによって、体力が低下していることで菌が増殖してカンジダ症を発症することが多いことから、厳密には性感染症には分類されていません。つまり、セックスの行為の有無に関係なくかかるということです。
性器ヘルペスとカンジダ症の症状の違い
性器ヘルペスの症状のうち、大きな特徴は水ぶくれです。
陰部やお尻、太ももに水ぶくれ(水泡)ができ、症状が進行すると水ぶくれが破れて潰瘍をおこしたり、かゆみをひきおこしたりします。
カンジダ症の症状で特徴的なのは、おりものの変化です。
体外に露出していて通気性が良くあまり菌が増殖する環境にない男性器では起こりにくく、女性がかかりやすい症状ということです。
カッテージチーズ状、酒粕状またはヨーグルト状のおりものが大量に分泌されるようになります。また、激しいかゆみもおこります。
一方、性器ヘルペスのような水ぶくれができることはありません。
性器ヘルペスとカンジダ症の治療方法の違い
単純ヘルペスウイルスの感染が原因で引き起こされる性器ヘルペスでは、抗ウイルス薬による治療が必要です。抗ヘルペスウイルス薬には、内服薬(飲み薬)、外用薬(塗り薬)、注射薬がありますが、購入にはいずれも医師の処方が必要です。
ガンジダ症の場合は、抗真菌薬(膣錠剤)による治療が行われます。病院で治療が行われる以外にも、ドラッグストアなどで治療薬を手にいれることが可能です。
性器ヘルペスとカンジダ症の再発リスクの違い
性器ヘルペスとカンジダ症は、再発しやすい病気であり、治療後も再発をしないように気を付ける必要があります。
性器ヘルペスの場合は、1年の間に再発する人は約8割にものぼるといわれており、年に6回以上と高い頻度での再発もみられます。一度感染したヘルペスウイルスは体内にとどまり続けるため、体力低下や免疫力低下が再発の引き金になります。再発を防ぐためには、初期治療が重要であり、症状が悪化する前に抗ヘルペスウイルス薬を投与することが大切です。
カンジダ症の場合も、約7割の人で再発が確認されています。原因となる真菌は、普通の状態でも体内に存在する常在菌であるため、体力低下や免疫力低下によって、菌が活性化すると再発を招きます。さらに、デリケートゾーンが不潔な状態の場合も再発を招くリスクが高くなります。一度カンジダ症を発症した人は、発症しやすい環境になっている可能性も高いため、デリケートゾーンを清潔に保つ工夫をすることも大切です。
まとめ
性器ヘルペスとカンジダ症は、いずれもデリケートゾーンの疾患ですが、性器ヘルペスが単純ヘルペスウイルスによる感染、カンジダ症が真菌(カビ)の感染というように原因は全く異なります。さらに、特徴となる症状も異なっているため違いがあるのはあきらかです。
しかし、性器ヘルペス、カンジダ症ともに一度感染すると、その後の再発のリスクが7割以上と非常に高くなっているため、治療だけではなく再発防止にも気を付けることが大切です。特に、性器ヘルペスの場合は、初期感染の段階できちんと抗ヘルペスウイルス薬による治療を受けることが再発抑制にもつながるため、気になる症状がある人は早めに病院で相談するようにしましょう。