ヘルペスと帯状疱疹の違いとは?見分け方、症状や再発の確率について知ろう

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ヘルペスとよく似た症状があらわれる疾患に、「帯状疱疹」があります。

では、ヘルペスと帯状疱疹とでは、何がどう異なるのでしょうか。ここでは、ヘルペスと帯状疱疹の違いについて、詳しく解説します。

原因となるウイルスの違い

ヘルペスと帯状疱疹の違いについてはまず、その原因となるウイルスに関するものが挙げられます。

まずヘルペスについてですが、これは「単純ヘルペスウイルス」に感染することで発症します。単純ヘルペスウイルスにはⅠ型とⅡ型があり、Ⅰ型ウイルスが口唇ヘルペスの原因に、Ⅱ型ウイルスが性器ヘルペスの原因になります。

これに対して帯状疱疹は、「水疱・帯状疱疹ウイルス」が原因となって発症します。通常、このウイルスへは1~5歳くらいの時に感染して「水疱瘡」という形で症状が現れるのですが、その原因となるウイルスは神経細胞の近くに住みついたままになっています。
そして疲れや免疫力の低下等によってこれが再び活性化すると、今度は帯状疱疹という形で症状が現れるようになるのです。

症状が出る部位に関する違い

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ヘルペスと帯状疱疹の違いとしてはまた、症状が出る“部位”に関する点も挙げられます。

まずヘルペスについてですが、口唇ヘルペスの場合、その症状は口唇やその周辺を中心にあらわれ、ごく稀に目の角膜や手の指にも症状が現れることがあります。
また性器ヘルペスの場合、性器やその周りに症状があらわれます。

これに対して帯状疱疹の場合、その症状は胸から腹、背中にかけて現れることが多い傾向にあります。この部分には「胸髄神経」という神経が通っており帯状疱疹の原因となる水疱・帯状疱疹ウイルスは神経節に潜んでいるため、神経が走っている部分に症状があらわれやすいのです。
また顔面を走っている三叉神経の領域に症状が出ることもあります。

症状の違いについて

ヘルペスと帯状疱疹の違いとしては、症状に関する点も挙げられます。

まず帯状疱疹についてですが、この疾患を発症した場合、以下のような症状があらわれます。
・発疹が出る前に痛みを感じる
・痛みは4~5日続くこともあり、夜も眠れないほど酷い場合もある
・発疹の上に、真ん中がくぼんだ水疱が沢山できる
・水ぶくれの中身が黄色い膿状になり、1週間程度で破れ、ただれる
・発症後2週間程度でかさぶたになり、3週間程度で治癒する。

これに対してヘルペスの場合、発症後水疱ができたりこれが潰れかさぶたになって治癒したりといった点は同じですが、帯状疱疹の時ほど強い痛みを感じることはありません。もちろん患部がピリピリしたり多少の痛みを感じたりすることはありますが、軽度であることがほとんどです。

またヘルペスによる痛みは症状が改善されるのと同時に治まりますが、帯状疱疹の場合、症状自体は治まっても神経痛が残ることがあります。

再発の有無やその回数に関する違い

ヘルペスと帯状疱疹との間には、再発の有無やその回数に関する違いもあります。

まずヘルペスについてですが、口唇ヘルペスの場合、一度感染・発症すると多くの方が1年に1~2回程度再発すると言われています。また性器ヘルペスの場合はもう少しその頻度が多く、人によっては1年に6回以上再発してしまうこともあります。

上述のようにヘルペスは単純ヘルペスウイルスへの感染が原因で発症するのですが、このウイルスは、一度感染すると体内から完全に追い出すことができません。もちろん抗ウイルス薬を服用することで症状を軽くすることはできますが、これはあくまでもウイルスの増殖を抑えたりその活動を鎮静化したりするだけで、ウイルス自体を退治できるわけではないのです。

そのため体力や免疫力が低下したりストレスが溜まったりすると、ウイルスが活発化・増殖してヘルペスが再発してしまうことがあるのです。

これに対して帯状疱疹の場合、基本的には一生のうちに1回しか発症しません。ごく稀に2回発症する方や何度も発症する方がいますが、そういった場合は糖尿病や膠原病、悪性腫瘍など免疫力に影響を及ぼす疾患に罹患している可能性を疑ってみる必要があります。

ちなみに帯状疱疹は年齢が上がるにつれその発症率が上がることがわかっており、90代の方にいたっては、その半数以上が帯状疱疹を発症しているといわれています。

なお、帯状疱疹の場合は、水ぼうそうの予防接種をすることで感染の予防をすることができ、もし発症しても症状が軽くて済むといわれているので、不安な方は予防接種を受けることを検討してみても良いでしょう。

通常、子どもの頃に水ぼうそうにかかったことがある人は、帯状疱疹ウイルスに対する免疫を獲得していますが、年齢とともに弱まってしまうため、あらためてワクチンを接種することで免疫を強化してあげることは、予防の面で意味があるのです。

まとめ

以上のように帯状疱疹とヘルペスとの間には、様々な違いが存在します。どちらもよく似た症状があらわれるため患部に発疹や水ぶくれができると「ヘルペスだろう」「帯状疱疹だろう」と自己判断をしてしまいがちですが、今出ている症状がどのような疾患によるものなのかについては、病院に行って医師の診察や検査を受けてみなければわかりません。

ヘルペスだと自己判断して市販の治療薬を飲んでいたら実は帯状疱疹だった、なんてことになっては大変ですので、気になる症状があらわれた場合は、早めに病院に行くようにしましょう。

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