ヘルペスは、放置しておいてもほとんどのケースにおいては時間の経過に伴って自然治癒してしまいます。
そのためヘルペスを発症した方の中には「放っておけば治るだろう」と病院に行くことなく放置してしまう方もいますが、実は、ヘルペスの自然治癒はおすすめできません。
では、どうしてヘルペスを自然治癒させてはいけないのでしょうか。ここでは、ヘルペスの自然治癒をおすすめしない理由について詳しく解説します。
症状を悪化させてしまう可能性がある
口唇ヘルペスは、薬等による治療をしなくても患部を清潔に保っていれば、再発の場合は発症後1~2週間程度で自然治癒してしまいます。
そうすると「治療なんて必要ないのではないか」と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、口唇ヘルペスを自然治癒させることは、あまりおすすめできません。
というのもヘルペスは、体力や免疫機能が低下しているときに発症しやすくなっています。
そして体力等が低下している時はウイルスが増殖しやすくなっているため、治療をせず放置しているとウイルスがどんどん活発化・増殖して症状が重篤化してしまう可能性があるのです。
人に感染させてしまう可能性が高くなる
口唇ヘルペスの自然治癒をおすすめできない理由としてはまた、人に感染させてしまう可能性が高くなる、という点も挙げられます。
口唇ヘルペスの原因となる単純ヘルペスウイルスⅠ型は、直接接触はもちろん、間接的な接触によっても感染してしまいます。
またこのウイルスは、口唇ヘルペスの症状が出始めた頃から増殖し始め、やがてできる水疱の中には大量のウイルスが存在します。
そして口唇ヘルペスは、適切な治療を行わず放置すると治るのが遅くなり、症状が出ている期間が長くなります。
症状が出ている期間が長引くということはそれだけウイルスが出ている期間も長引くということですので、結果的にヘルペスを人に感染させてしまう可能性が高くなってしまうのです。
また口唇ヘルペスは、他人だけではなく自分にも感染させてしまうことがあります。
本来であれば「単純ヘルペスウイルスⅡ型」という口唇ヘルペスとは型が異なるウイルスが原因で発症する性器ヘルペスですが、口唇ヘルペスの症状が出ている部分に触れた手で性器を触った場合、これによって性器にウイルスが感染し、性器ヘルペスになってしまうことがあるのです。
ヘルペスウイルスは「愛のウイルス」と呼ばれることもあるくらいパートナーやご家族など親しい間柄の人に感染させてしまうことが多いウイルスですので、大切な人も守るためにも、口唇ヘルペスになった場合は放置しないできちんと治療を受けるようにしましょう。
跡、シミ(赤みや黒ずみ)が残ってしまう可能性がある
口唇ヘルペスの自然治癒をおすすめできない理由の1つとして、患部に跡やシミが残ってしまう可能性がある、という点も挙げられます。
口唇ヘルペスになると患部に水ぶくれができたりこれが潰れたりしますが、かさぶたがはって剥がれてしまえば、基本的に跡が残ることはありません。
しかし治療を受けずに放置して症状を悪化させてしまった場合、かさぶたが剥がれた後も黒くシミ、色素沈着が残ってしまうことがあります。
またもっと深刻なケースでは、肌の真皮層にダメージが及び、肌がえぐれたような跡が残ってしまう可能性もあります。
そして肌へのダメージが真皮層にまで及んでいる場合、その跡が目立たなくなるにはかなり長い期間を要します。
ヘルペスの跡が消えない場合の対処法については、こちらの記事「ヘルペスの跡(赤み・色素沈着)が消えない?対処方法とは?」をご覧ください。
まとめ
口唇ヘルペスは、特別な治療をせず放置していても1~2週間程度で自然治癒してしまいます。
しかし“自然治癒するから”といって放置してしまうと、症状が悪化して跡(赤みや黒ずみの色素沈着)が残ってしまったり、人に感染させてしまったりする可能性があります。
口唇ヘルペスは外用薬を塗ったり抗ウイルス薬を服用したりすることで症状を悪化させず早い段階で治癒させることができますので、口唇ヘルペスが疑われる症状が出た場合は放置せず、早めに病院に行くようにしましょう。