カポジ水痘様発疹症とは?アトピー性皮膚炎の方は要注意!

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カポジ水痘様発疹症は、特定のウイルスに感染することによって発症する疾患です。では、この病気の原因は何で、発症するとどのような症状があらわれるのでしょうか。また、カポジ水痘様発疹症に対する治療は、どのように行われるのでしょうか。ここでは、カポジ水痘様発疹症について詳しく解説します。

カポジ水痘様発疹症の原因

カポジ水痘様発疹症は、ウイルスへの感染によって発症する病気です。この病気の原因となるウイルスには
・単純ヘルペスウイルス
・痘瘡ウイルス
・ワクチニアウイルス
等がありますが、痘瘡ウイルスについては撲滅が確認されているため、ほとんどの方は単純ヘルペスウイルスへの感染が原因となってこの病気を発症しています。

アトピー性皮膚炎患者に発症しやすい

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カポジ水痘様発疹症は、重度のアトピー性皮膚炎の方に多く発症することがわかっています。通常の方であれば単純ヘルペスウイルスに感染したとしても口唇ヘルペスなど症状が限局的にあらわれるだけなのですが、重度のアトピー性皮膚炎など肌のバリア機能が破壊されている場合、単純ヘルペスウイルスが患部から経皮感染して症状があらわれるのではないか、と考えられているのです。
またアトピー性皮膚炎以外に、
・ダリエー病
・脂漏性皮膚炎
・天疱瘡
・魚鱗癬
・紅皮症
・熱傷
・日焼け
といった基礎疾患がある方も、この病気を発症しやすい傾向にあります。

カポジ水痘様発疹症の症状

カポジ水痘様発疹症を発症した場合、基礎疾患であるアトピー性皮膚炎等による湿疹の上にウイルスが感染し、通常のヘルペスと同じく中央部分が少しへこんだ感じの小さな水疱が形成されます。ただしカポジ水痘様発疹症の場合はこの疱疹が通常よりも大きく、また広範囲に絶蜂する傾向にあります。
また場合によっては、熱が出たりリンパ節が腫れたりすることもあります。

合併症を起こすこともある

カポジ水痘様発疹症は時に、合併症を起こすことがあります。
特に深刻なのは初感染時で、肝障害を起こすことも珍しくありません。またごく稀ではあるものの、
・肺炎
・食道炎
・脳炎
といった全身感染症状を起こし、最悪の場合は死に至ることもあります。

細菌二次感染を起こすこともある

重度のアトピー性皮膚炎患者の病変部には、黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌が沢山存在しています。そのため伝染性膿痂疹をはじめとする細菌二次感染を起こしやすい傾向にあります。

カポジ水痘様発疹症の治療法

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カポジ水痘様発疹症を発症した場合、その治療法は初感染かどうか、体の免疫機能の状態、細菌感染を合併しているかどうか、といったことによって変わってきます。

初感染時の治療法

カポジ水痘様発疹症は初感染時、重症化しやすい傾向にあります。そのためこの病気への初感染が疑われる場合は原因となる単純ヘルペスウイルスに対して効果的な抗ウイルス薬を7~10日程度、1日5回服用します。しかし患者の状態によっては薬物療法を行っても症状が改善されないことがあり、この場合は細菌感染症を合併している可能性を疑ってみる必要があります。

細菌感染を合併している場合の治療法

細菌感染を合併している場合、ヘルペスウイルスを退治するだけでは症状を改善することができません。そこでまずは患部から滲出液等を採取したうえで顕微鏡下における菌要素の確認や細菌培養検査等を行い、感染している細菌の種類を特定します。
そしてその細菌に対して効果的な抗生物質を選定し、これを全身投与することによって症状の改善を図っていくのです。

免疫力が低下している場合の治療法

体の免疫力が低下している方の場合、抗ウイルス薬の服用だけでは症状が改善されない場合があります。特に罹患範囲が広い場合や熱傷がある場合は全身管理が必要になるため、入院をした上で点滴による治療を行うことになります。

カポジ水痘様発疹症は再発する病気!?

単純ヘルペスウイルスへの感染によって発症するカポジ水痘様発疹症は、口唇ヘルペス等をはじめとする通常のヘルペスと同じく、再発する病気です。では、カポジ水痘様発疹症の再発を予防するためには、どうすればいいのでしょうか?

最近は薬によってヘルペスウイルスの活動をコントロールしその再発を予防する治療法が登場していますが、カポジ水痘様発疹症に関しては、残念ながら再発予防法が確立されていません。
ただしこの疾患には基礎疾患であるアトピー性皮膚炎による症状が深く関係していることがわかっていますので、アトピー性皮膚炎の症状を適切にコントロールすることによって再発を予防することができるのではないか、と考えられています。
アトピー性皮膚炎は過労やストレス、免疫力の低下等によって悪化しますので、その症状の悪化やそれに伴うカポジ水痘様発疹症の再発を予防するには、

・風邪をひかないよう注意する
・適度に体を休め、過労状態に陥らないようにする
・ストレスを溜めない

といった対策が効果的です。

まとめ

カポジ水痘様発疹症は、アトピー性皮膚炎などの基礎疾患を抱えている方が発症しやすい疾患です。そのためこの病気の発症・再発を予防するには、その原因となるヘルペスウイルスに感染しないようにするというのはもちろん、基礎疾患を悪化させないようにすることも大切です。

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