口唇ヘルペスと性器ヘルペスの違いとは?原因・症状・頻度について

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ヘルペスには、「口唇ヘルペス」と「性器ヘルペス(陰部ヘルペス)」の2種類があります。では、これら2種類のヘルペスにはどのような違いがあるのでしょうか。

ここでは、その原因や症状の出方、感染経路など、口唇ヘルペスと性器ヘルペスの違いについて詳しく解説します。

口唇ヘルペスと性器ヘルペスの違い~原因となるウイルス~

口唇ヘルペスと性器ヘルペスの違いとしてはまず、その原因となるウイルスに関する点が挙げられます。

というのも、ヘルペスは「単純ヘルペスウイルス」が原因となって発症する疾患なのですが、このウイルスには2つの型があります。単純ヘルペスウイルスⅠ型と、単純ヘルペスウイルスⅡ型です。

これらのうち口唇ヘルペスの原因となるのは単純ヘルペスウイルスⅠ型です。
(他にもヘルペス性角膜炎やヘルペス性歯肉口内炎、カポジ水痘用発疹症、ヘルペス脳炎を引き起こすことがあります。口唇ヘルペスの原因についての詳しい説明はこちらをご覧ください。

これに対して性器ヘルペスの原因となるのは単純ヘルペスウイルスⅡ型で、他には臀部ヘルペスやヘルペス性髄膜炎を引き起こすことがあります。

つまり同じヘルペスでも口唇ヘルペスと性器ヘルペスとでは、その原因となるウイルスの型が異なるというわけですね。

口唇ヘルペスと性器ヘルペスの違い~症状があらわれる部位~

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口唇ヘルペスと性器ヘルペスとでは、その名前からして想像がつくと思いますが、症状があらわれる部位にも違いがあります。

口唇ヘルペスを発症した場合、その症状は唇やその周辺を中心にあらわれます。
これに対して性器ヘルペスの場合、女性の場合は外陰や膣の入り口、子宮頸部などに、男性の場合は亀頭や陰茎体部、包皮に症状があらわれます。またあまり多くはないものの、お尻や太もも、肛門に症状が出ることもあります。

口唇ヘルペスと性器ヘルペスの違い~再発する頻度~

口唇ヘルペスも性器ヘルペスも「単純ヘルペスウイルス」を原因とする疾患ですが、このウイルスは、一度感染すると体内から完全に駆逐することができません。もちろん薬を服用・塗布することでウイルスの活動を鎮静化したり増殖を食い止めたりしてヘルペスの症状を軽減させることは可能ですが、ウイルス自体をやっつけることはできないのです。

そのため口唇ヘルペス、性器ヘルペスともに再発しやすい傾向にあります。ただしその“頻度”には微妙な差があり、口唇ヘルペスの再発頻度が1年に1~2回程度であるのに対し、性器ヘルペスの発生頻度は多い人で1年に6回以上になります。
そのため頻繁に性器ヘルペスの再発を繰り返す人に対しては、再発を予防するための薬物療法が行われることがあります。

ちなみに口唇ヘルペスが再発しやすいのは、

・疲れがたまっているとき
・ストレスが溜まっているとき
・紫外線を浴びたとき
・免疫力が低下しているとき

が多いのですが、性器ヘルペスは、

・アルコールを過剰摂取したとき
・月経時
・他の性感染症を発症したことで陰部の皮膚が冒されているとき
・セックスをはじめとする性行為によって皮膚に摩擦や損傷が生じたとき

等にも再発しやすいことがわかっています。

口唇ヘルペスと性器ヘルペスの違い~市販薬の有無~

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口唇ヘルペスと性器ヘルペスの違いとしてはまた、市販薬の有無に関する点も挙げられます。

口唇ヘルペスの治療薬は薬局やドラッグストアにおいて市販されていますが、性器ヘルペスの市販薬は販売されていません。

それでは口唇ヘルペスの市販薬で性器ヘルペスの治療をすることはできないのか、という話になってきますが、これについてはあまりおすすめできません。
確かに口唇ヘルペスの治療薬も性器ヘルペスの治療薬もその成分自体はほぼ同じなのですが、性器ヘルペスが疑われる場合、他の性感染症によっても同じような症状が出ることがあります。そのため陰部に水疱等ができたからといって自己判断でヘルペスだと決めつけてしまうのは、あまりに危険なのです。

性器に気になる症状があらわれた場合は自己判断をせず、必ず病院に行くようにしましょう。

口唇ヘルペスから性器ヘルペスになることもある

ここまで口唇ヘルペスと性器ヘルペスの違いについて解説してきましたが、実はこの2種類のヘルペス、全く無関係というわけではありません。

性器ヘルペスの原因となるのは単純ヘルペスウイルスⅡ型ですが、口唇ヘルペスの原因となる単純ヘルペスウイルスⅠ型によっても感染することがあります。そのため、例えば口唇ヘルペスを発症している人とオーラルセックスをした場合、あるいは口唇ヘルペスの症状が出ている部分に触れた手で性器を触った場合、陰部に単純ヘルペスウイルスⅠ型が感染し、性器ヘルペスになってしまう可能性があるのです。

また逆に、性器ヘルペスも性器だけでなく口や目などにも感染します。その中でもオーラルセックスを介して、相手の喉に感染してしまうケースが非常に増えているのです。

ヘルペスウイルスは感染力が強いウイルスですので、症状が出ている時は患部への接触を避けたり手洗いを徹底したりというのはもちろん、寝具やタオル、食器の共用を避けるなどして間接的な接触も極力控えるようにしましょう。

まとめ

口唇ヘルペスも性器ヘルペスも、一度感染・発症すると何度も再発を繰り返し辛い思いをすることになる可能性があります。

だからこそ、パートナーやご家族にヘルペス感染者がいる場合は、その予防に努めるとともに、もしも感染してしまった場合は、できるだけ早い段階で治療を受け、再発の予防に努めるようにしましょう。

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